『負けず嫌い』 (特命戦隊ゴーバスターズ/リュウジ)
「あー! 一発外れちゃった!」
「ヨーコは長期戦になると先走る傾向にあるよな」
「そんなことないよ」
「いや、ある。自分の傾向は素直に認めた方がいいと思うけど」
「ムカつくー! そう言うヒロムは自信満々っぽいけど、スコアどうだったの?」
「オレはノーミス。当然だろ」
「言い方がほんとムカつくんだけど!」
なぜか始まった食堂の食券を賭けた射撃訓練。
それを終えてのヒロムとヨーコのやり取りを眺め、リュウジは穏やかに笑う。どちらも相当な負けず嫌いだ。
「リュウさん! 関係ないって顔してるけどリュウさんもやるんだからね」
「えっ、俺も⁉︎」
思い掛けず巻き込まれ苦笑する。
ヨーコに手を引かれ、仕方ないとイチガンバスターを手に訓練場に立ったリュウジは臨戦態勢を取った。
(ま、やるなら本気を出さないとね)
戦いに関して決して特別な才はないけれど、積み重ねた努力で二人に劣らないと自負して。
「……なんて、俺も案外負けず嫌いかも」
照準を合わせた次の瞬間、寸分違わずに標的を撃ち抜き、そして次々と変わる的を逃さず最小限の動きで捉える。
息を呑むヒロムと『リュウさんすごい!』とはしゃぐヨーコに、リュウジは柔らかな笑みを浮かべた。