『甘くて苦い』 (特命戦隊ゴーバスターズ/リュウジ×ヨーコ)
「今日、友達とファーストキスの話になってね」
さらりと言い出したヨーコに、ドライバーを回していたリュウジの力加減が狂い、ネジ頭がグニャリと潰れる。そんなリュウジに構わず、ヨーコは話を続けた。
「友達はファーストキスはイチゴ味、なんて言ってたけど、私はコーヒー味だったなって思い出したんだ。あの時、リュウさんコーヒー飲んでたし。ちょっと苦いけど、なんか甘く感じたんだよね」
「ヨ、ヨーコちゃん⁉︎」
どこからどう話したらいいものか。吹き出す汗をそのままに思考を巡らせていると、ヨーコはデスクの上のマグカップを見て目を輝かせた。
「ね、リュウさん確かめさせて!」
言うが早いか、重なる唇。そしてもっと深くとねだるヨーコにリュウジは白旗を上げ、力を抜いた。
ああもう、最近の女子高生ってヤツは。
せめてもとリードを奪えばヨーコはリュウジに体を預ける。
苦くて甘い、彼女の望むキスになるように。
ヨーコの髪に手を差し入れ、その頸を優しく引き寄せた。