『初任給』/『初任給の使い道』 (特命戦隊ゴーバスターズ/リュウジ×ヨーコ)
「これ、いただけません」
渡された封筒の厚みに慌てて突き返せば、リュウジの肩に黒木の手が置かれる。
「正当な報酬だ。お前はそれだけの事をしている。受け取ってくれ」
黒木の表情からは彼の心情をうかがい知る事は出来ないが、肩に触れる手の温かさにリュウジは頷き、封筒を受け取った。
『初任給の使い道』
思い掛けない給料支給。
リュウジはその内の五千円を財布に入れ、残りを黒木に預ける事にした。
住環境は整えられているし特に欲しいものもない。それでも、どんな形であれ自分の働きで得た報酬で何か買ってみたくなり、非番の日に街に出かけた。
いろいろな店を覗いて見つけたのは可愛らしいウサギのマスコットがついたヘアゴム。
ラッピングしてもらったそれを手土産に、自分を兄のように慕ってくれる少女の笑顔を思い浮かべながら歩き出した。