『ある夏の日に』  (特命戦隊ゴーバスターズ/リュウジ×ヨーコ)



「リュウにぃちゃん、ただいま!」
 学校から帰るなり飛び付いてきたヨーコは、今年最高気温だという外の暑さの影響で熱いくらいにポカポカしている。
 訓練を終えたばかりでクールダウンをしていなかったリュウジは、慌てて手を伸ばしてアイスパックを手繰り寄せると小脇に抱えた。
「おかえり、ヨーコちゃん。外は暑かったよね。今から食堂でかき氷を食べようかなって思うんだけど、一緒に行く?」
「うん! いくー! ヨーコいちごがいい!」
 無邪気に笑うヨーコに笑顔を返し、腰に引っ付いている彼女をやんわりと離すと代わりに手を握る。
 体温が上昇しすぎるとコントロールが効かず、無差別に攻撃してしまう熱暴走というウィークポイント。
 絶対に傷付けたくないし荒れ狂う別人格を見せたくない。
 自分はヨーコにとって大切な「家族」なのだから。
 幸い、すぐに手を握ったことでヨーコは離されたとは感じていないようでご機嫌なままだ。
 柔らかで小さな手は温かい。リュウジは穏やかな笑みを浮かべ、ヨーコの手を引いて歩き出した。