『甘い誘惑と赤い痕』 ※R15 (特命戦隊ゴーバスターズ/リュウジ×ヨーコ)
「だからどうして、そういうことするの……」
リュウジは蚊の鳴くような声で呟き、ベッドの上で正座するヨーコの肩に手を置いた。
ヨーコが着ているのはリュウジのシャツで。
しかも胸元のボタンは意図的に外されていて、女性らしい胸の谷間とリボンやレースで装飾されたブラジャーが見えている。それに加えてシャツの裾から伸びる白い脚に、リュウジはくらりと眩暈すら覚えて首を振った。
「ヨーコちゃん、お願いだから服を着て……」
「着てるよ」
「そうじゃなくて。無防備すぎるんだってば。こんな姿見せられたら理性も何もなくなる」
「だってそうなって欲しいから。男の人って、こういうのにグラッとくるんでしょ?」
「そりゃあ、自分の彼女が自分のシャツを着て可愛い下着を着けて、さぁどうぞなんて待ち構えてたらさ……」
「じゃあ、手を出してくれる?」
「…………ダメ」
絞り出した答えに、ヨーコは顔をクシャリと歪めた。
「どうしてもしてくれないの?」
「言ったでしょ。高校を卒業するまではしないって」
「リュウさんのバカ。真面目すぎ! ホントはしたいクセに!」
投げつけられた言葉は的を得ていて、リュウジは息を吐くとヨーコの肩を押してベッドの上に彼女を組み敷いた。
息を呑み、リュウジを見上げる瞳が期待と不安に揺れる。
(ああもう、本当に――)
このまま事に及んでしまいたい気持ちに負けそうになりながら理性を総動員し、リュウジはヨーコの頬に触れた。
「……そうだよ。したくて仕方ないのを必死で我慢してるんだから、あんまり煽らないでくれる?」
「あっ、リュウさ――」
噛み付くようなキスをして、首筋に唇を移して白い肌をきつく吸い上げる。
痛みすら感じる程の行為にヨーコが身を捩ると、ようやくリュウジは顔を上げて苦々しく笑った。
「……好きな子にこんな格好されて優しく抱ける男なんていないよ、きっと。ヨーコちゃんが思ってる程、俺は大人じゃないから」
刻み込んだ赤い痕を慰るように、そっと指先が触れる。ヨーコがその行為に言葉とは裏腹の優しさを感じて泣きそうになっていると、リュウジが体を離した。
「とにかく、俺は外に出てるから戻るまでに着替えておいて」
「うん、わかった……。リュウさん、ごめんなさい」
「謝る必要なんてないよ。それに俺の方こそごめん。たぶんすぐには消えないと思う。そのキスマーク」
「えっ? ……あっ」
首に手を当てたヨーコの頬が一気に朱に染まる。その姿を見て、リュウジは苦笑する。
「ついつけちゃったけど、煽ったヨーコちゃんが悪いんだからね。これに懲りたら約束の日まで必要以上に俺を誘惑しないこと。……でも、リクエストしておくよ。俺たちがそういう関係になったらもう一度着てね。その時はしっかり堪能させてもらうから」
顔を真っ赤に染めたまま頷く恋人にリュウジはふわりと笑い、頬に唇を寄せた。