『甘え甘やかす二人のこと』 (特命戦隊ゴーバスターズ/リュウジ×ヨーコ)
「リュウジさんってヨーコに甘いですよね」
休憩室の前を通りかかった時に聞こえてきたヒロムの声。耳を澄ますと、穏やかなリュウさんの声が聞こえてきた。
「まぁ、自覚はあるよ。ヨーコちゃんが小さい頃から一緒にいたから、可愛くて仕方なくてさ」
「親バカ、ってヤツですか」
「そこはお兄さんって言ってよ。……でも、ヨーコちゃんも甘え上手っていうか。俺のこと信じて頼ってくれて。あんなに純真な子に頼られたら、誰だって全力で守ってあげたくなるでしょ。ヒロムもそう思わない?」
「いや、純真かどうかは置いておいて。あいつが甘え上手って言うならリュウジさん限定ですよ」
「そうかなぁ」
「そうですよ。ま、リュウジさんが何でも叶えてあげてるから他にいかないっていうのもあるかもしれないですね」
「それは……誇っていいところ? それともダメ出し?」
「どうですかね?」
「うーん……。ヒロムは甘やかしすぎって思う?」
「まぁそう思ったからこの話を振ったんですけど。でも、外野がとやかく言ったところで変えるつもりはないんですよね」
「そうなんだよね。気が強そうに見えて案外脆いところもあるからさ。だからヨーコちゃんが俺をいらないって言うまでは支えてあげたいなって思ってるよ。で、それが今の俺の生きがいにもなってるかな」
「それってやっぱり、完全に父親目線じゃないですか」
「だからそこはお兄さんってことにしておいて欲しいんだけど……」
「無理ですね」
――そんな二人の会話を耳にして、ほっぺたが緩んでしまう。
リュウさんに大事にされている私。ちょっとだけ、甘えすぎて負担になってないかな……って考えた事もあるけれど、リュウさんにとってもプラスになっているみたいで嬉しくなる。
(いらないはずないよ、ずっと一緒にいて)
そう言って今すぐ飛び付きたい気持ちをぐっと抑え、緩みきった頬を押さえながら私はその場を後にした。