『ポッキーの日』 (特命戦隊ゴーバスターズ/リュウジ×ヨーコ)
「今日ってポッキーとプリッツの日らしいね。だからこれ、どうぞ」
そう言ってお菓子の箱を差し出すリュウさんにお礼を言って受け取ると、私は早速、ポッキーの封を開けた。
(リュウさん、これ知ってるかな?)
チョコレートのかかったスティックを口に咥え、先っぽをリュウさんに向けると思いきり不思議そうに見下ろされる。
「えっと、どうしたの?」
「……どうしたのって、ポッキーゲーム知らない? ポッキーの端っこをかじり合って、先に口を離した方が負けってヤツ」
ポッキーを持って軽く振ると、リュウさんは数秒考えて視線を揺らしながら私を見た。
「それってさ、お互いに食べ進めたらキスするって事だよね?」
「うん、そうだよ! だからしよ?」
むしろそれを狙ってる、と笑ってみせると、「えー……」とか、「あー……」とか唸った後で分かったと頷いた。
「じゃあやろっか」
もう一回ポッキーを咥えると、リュウさんの手が私の肩に置かれる。
カリッ、とポッキーをかじる度に唇に伝わる微かな振動と、視界いっぱいのリュウさんの顔と。
(あ、ちょっと待って……、なんかすっごくドキドキする……!)
心臓の音がうるさくて、顔が熱くなる。
自分からポッキーを食べ進める事が出来なくなって固まっていると、唇が触れてゆっくりと離れた。
「……どっちも最後まで口を離さなかったけど、食べ進めたのは俺の方が多かったから俺の勝ち、かな?」
「そう……だね」
「じゃあ、ご褒美をもらうね」
「え? ……っ」
やわやわと。触れるだけのキスを何度か繰り返して。もどかしくなってリュウさんの胸元の服を引き寄せると了解とばかりに深くなる。
チョコレート味の甘いキス。
(こういうの、ミイラ取りがミイラになるって言うんだっけ?)
そんな事を頭の片隅で考えながら、私はリュウさんとのキスに溺れていった。