『夢のカケラ』 (特命戦隊ゴーバスターズ/リュウジ×ヨーコ)
「リュウジ、これどうするの?」
「もう必要ないから処分しようと思ってるけど」
生活が一変して一年が経ち。気持ちの区切りをつけるためにまとめた専門誌の束。ゴリサキはそれを持ち上げ、紐を解くと本棚に戻し始める。
「ちょっとゴリサキ、何するんだよ⁉︎」
「捨てちゃダメだ。これはリュウジの大切なものだから」
「ゴリサキ……」
身体の大きさの割に気弱な彼が、珍しくハッキリとした口調で言う。
人間よりも人間くさいバディロイドに、俺は少し考えて頷いた。
「わかったよ。もうしばらく残しておくよ」
そう答えると安心したように頷き、嬉々として本を並べる。
正直に言えばエンジニアになりたいという夢に未練がある。それを捨てるために手放そうとしたのだけれど。
ゴリサキに止められてホッとした自分がいる。
過去の自分がいて今の自分が在る。
ゴリサキの背中を見つめながら、俺は夢のカケラに思いを馳せた。