『写真』   (特命戦隊ゴーバスターズ/リュウジ×ヨーコ)



「リュウさん、喜んでくれるかな」
 高校生活も三か月が過ぎて、新しく出来た友だちが撮ってくれたスナップ写真。
 リュウさんにも渡したくなって、焼き増ししてもらった写真を封筒に入れて彼の部屋に向かう。
 居住区の通路を一人歩いていると、なんとなく足が重くなった。
(なんか、最近リュウさんが遠いな……)
 そんなことを考えて気持ちが沈み込む。
 私が高校生になって、リュウさんは管理局のエンジニアとして働き始めて。場所も生活もバラバラになってしまったから仕方ないことだとは思うんだけど、私から会いに行かないと会えないことが多い。
 特命部にいた頃は毎日のように一緒にいて、顔を合わせない日はほとんどなかった。
 いつも側にいた。私が何をしたって笑って受け入れてくれて。
 でも。

『保護者の役割は終わり』

 そう告げたあの日から、どこか線を引いたように一歩遠くなってしまった。
 私を一人の大人として扱ってくれて嬉しかったけれど、日に日に寂しさが募っていく。
 写真だって、あんなに熱心だったのに最近はぜんぜんシャッターを向けてくれない。
(リュウさん、忙しくてそんな余裕ないのかな。それとも、私のことはもう気にならなくなっちゃった……?)
 考えないようにしようとしていたけれど、一度考えだすと止まらなくなる。
「……あー! もう考えるのはやめよう! とにかく、写真を渡すこと!」
 グルグル考えているとせっかく焼き増ししてもらった写真を渡せなくなりそうで、私はパチンと頬を叩いた。
 将来のことを考えて高校に通って欲しいと願っていたリュウさんに、今が楽しいということを伝えたくて。
「よし、行こう」
 とにかく笑顔で。
 辿り着いたリュウさんの部屋の前で、私は一つ深呼吸をすると呼び出しボタンに手を伸ばした。