『相談事』 (特命戦隊ゴーバスターズ/リュウジ×ヨーコ)
「仲村さんってブラはどこで買ってるの?」
「ぶら……ブラ、って、え、もしかしてブラジャーのことですか⁉」
「しーっ! 声が大きいってば!」
「ごめんなさい。でもヨーコちゃん、どうしていきなり下着の話を……?」
休憩スペースでコーヒーを飲んでいたところ、ぷらっと通り掛かったヨーコがハッとしたように仲村を見て近づき、そして『下着はどこで買っているのか』と聞いてきたのだ。
ただの雑談にしては唐突すぎてきっと理由があるのだろうと首を傾げると、ヨーコは向かいの席に座って頬杖をついた。
「私、楽だからずっとスポブラだったんだけど、そろそろちゃんとしたブラっていうか、可愛いの着けたいなって思って」
「友達がそういうの着けてて気になった、とか?」
「まぁそれもあるけど、そろそろ準備しておきたくて」
「準備……?」
「そう。勝負下着ってヤツ」
「ヨ、ヨーコちゃん⁉ それって……その……リュウジさんのための?」
「うん。エッチするのは高校を卒業したらって言われてるんだよね。私もう十九歳なんだからぜんぜん手、出してもらって構わないのに。絶対にダメだって。だからリュウさんがグラッとくるような下着を着けたいの」
「あー……それは……」
仲村は頭を抱えながら呻く。
どちらの気持ちもわかる。リュウジに愛されたくて下着を用意しようというヨーコの気持ちも、ヨーコを大切にしたくて一線を引いているリュウジの気持ちも。
傍から見ていると二人とも本当に相手のことが好きなんだとわかる。
好きな人と一緒にいると心が満たされて、相手を愛せば愛すほどに今度は触れたいという気持ちが強くなる。
同じ女だからこそ否定することの出来ないヨーコの恋心。
「……わかりました。今度の休みに一緒に買いにいきましょう」
「ほんとっ⁉ やった!」
満面の笑みを浮かべるヨーコに笑顔を返し、仲村はリュウジが自らの決めた一線と葛藤する様子を思い浮かべて心の中で手を合わせた。