『思いがけない間接キス』 (スターオーシャン5/エマーソン×アンヌ)
「何をしているのですか、エマーソン」
街外れの奥まった一角。そこで私はリリアと一緒に何かに熱中している彼を見かけ、声を掛けた。
「ああ、アンヌか。シャボン玉遊びをしてたんだよ」
「シャボン玉、ですか?」
思わず首を傾げる。私達が今、滞在しているこの惑星で見かけた事のない遊び道具。
エマーソンは私の疑問に気付いたらしく、ニィっと笑った。
「船で材料を調達したんだよ。中性洗剤に少々の砂糖。それに微温湯があれば完成だ。後は容れ物にストローで……っと」
エマーソン、とリリアに続きを促され、彼はストローの先を液に浸し、息を吐いた。
虹色の透明なシャボンの玉が次々と空に浮かぶ。
「わぁ……。きれい……」
風に運ばれ、舞い上がるシャボン玉。それが壊れて消えてしまうまでリリアは丁寧に目で追う。
未開惑星保護条約……には、これぐらいならきっと抵触しない――頭の片隅でそんな事を考えて、ふと以前の自分だったら頭ごなしに制止していたはずだと気付く。
いつの間に私の基準が変わったのだろうか。
目の前の光景がとても和やかで、このまま見守っていたいと切に思う。
「アンヌ」
名を呼ばれ、気付けばエマーソンが私にストローを差し出していた。
「お前もやるか? たまには童心に返って遊ぶのも楽しいぞ」
「そうですね」
思わず漏れる笑み。受け取ってストローの先を液に浸し、そっと息を吹き込むと綺麗なシャボン玉が空に浮き上がった。
「アンヌもじょうず! シャボン玉、いっぱいだね」
「リリアさんもやってみますか?」
「うん!」
リリアさんにストローを渡し、そしてふと気付く。
ストローは一本。よくよく考えたら、私はエマーソンから渡されたストローを使ってシャボン玉を作って……。
(これはもしかして、間接キス……?)
急に頬が熱くなり、手で押さえるとリリアさんが不思議そうに私を見上げる。
「アンヌ、どうしたの?」
「な、なんでもありませんよ。さぁ、シャボン玉をたくさん作りましょうか」
どうかこの頰の熱に気付かないで。
私は彼に気付かれないよう、背を向けながらリリアさんに笑いかけた。
貴方は時間があるなら『後から間接キスに気づいて時間差で恥ずかしくなるエマアン』をかいてみましょう。幸せにしてあげてください。
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