『花飾りの贈り物』  (スターオーシャン5/フィデル×ミキ)



 村の東側に並ぶ露天商の店。その前を通りかかった僕は、目に留まったアクセサリーを思わず手に取った。
(この花飾り、ミキに似合いそうだな……)
 着けている姿を思い描いていると、店主が声を掛けてきた。
「それが気になるのかい?」
「あ、はい。こういうの好きだろうなと思って」
 そう答えると、この花飾りは中央レスリアで仕入れた一品物で、今を逃すと買えないからと促される。真偽はともかく、確かに物は良さそうだしデザインもそこらにあるような物ではなさそうで。
 値段を確認すると、思いがけず高価で手持ちがほとんどなくなってしまう。ここにはミキに頼まれた米を買いにきたのに、と思案した。
 普段、いろいろと世話をしてもらっている礼になるかと思ったが、あまり高価なものだと気が引けるかもしれない。
 でも確かにこの装飾品はミキに似合いそうで――。
 悩んでいると、ふいに豊漁祭の準備をする者の姿が視界に入る。
(そうか、今年はミキも祝い歳になるな……)
 数えで十五歳になるミキは豊漁祭の時に成人となる。
 その祝い品として贈るのはどうだろうか。
 きっと喜んでくれるはずだと思い、僕は店主から花飾りを買った。
 対だから持っていきなと、同じ花をモチーフにしたネックレスを渡され。礼を言って帰路を急ぐ。
 紙袋の中を見て、ミキはどんな顔をするのだろうか。
 どこかくすぐったい気持ちになりながら、僕は石階段を駆け下りた。