『君の声が聴こえた気がした』 (スターオーシャン5/ヴィクトル×フィオーレ)
「グアッ……‼︎」
目前の相手と剣を交える最中、もう一体の敵が繰り出した攻撃を避けきれず、身を切り裂かれる痛みに意識が白む。
衝撃に、受け身を取る間も無く地面に叩きつけられ、咳込むと同時に錆の味が口の中に広がった。
立ち上がらなければ。そう思うが体に力が入らない。
失われる感覚。
ぼやける視界の向こうに襲い来る魔物の姿を捉えながらも暗転していく――その刹那、暴風が魔物に向かって吹き荒れた。
『ヴィクトル‼︎ あなたが倒れてどうするの⁉︎」
悲鳴染みた声が遠くで聴こえた気がして、意識が繋ぎ止められる。
ああ、そうだ。私は彼女を守らねばならない。
「あなたは、まだやれる……!」
温かな光が私を包み、再び力が溢れる。
「……すまない、ありがとう」
立ち上がり、剣を握り直すと彼女は額の汗を拭って微笑んだ。
「行こう」
「ああ」
共に走り出す。戦況は苦しくとも背後には彼女がいる。
私は心の中でもう一度彼女に感謝し、仲間を襲う敵の背後に一太刀を浴びせた。
お題『君の声が聴こえた気がした』を使用しました。
ヴィクフィオへの3つの恋のお題:君の声が聴こえた気がした/裏通りに連れ込んで/君が望むなら何度でも
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