『その笑顔は誰が為』  (スターオーシャン5/ヴィクトル×フィオーレ)



 週末デートで立ち寄った公園。その一角にあるベンチに腰を掛け、ヴィクトルが溜息を吐いた。
「なぁに? ため息なんてついて」
「……あ、すまない。あそこの親子連れを見ていたら昨日の事を思い出してな」
「何かあったの?」
「部下が子供を連れて来たのだが、その、怯えられてしまってな。やはり私は子供受けが良くないらしい」
「……そんなの、いつもみたいに笑えばいいじゃない。あなたの笑顔、ずいぶん柔らかくなったと思うわよ」
「それは相手がお前だからな。初対面の相手に同じ顔をしろと言われても恐らく無理な話だ。……子供に好かれるようになるには――」
「……そっか。私だから特別、か」
 ジワジワと胸を満たす想いはなんと呼べばいいのだろうか。
 自己分析をする彼の声音に耳を傾けながら、私は頰が緩むのを感じた。